修復物を長持ちさせる秘訣
人の顔は年齢とともに変化(老化)していきます。口も顔の一部ですから変化していきます。いつも同じということはありません。歯科で治療した冠などの修復物も生体に合うように調整して装着していますが、なかなか一筋縄ではいかないことも多々あります。
人は顔や性格がすべて違うように、お口の動きや使い方にもそれぞれ個性があり、十把ひとからげにはいきません。なかなかその人固有のお口の使い方を見抜くことは、すぐには出来ないことが多いです。長年にわたりかかりつけ医としてお付き合いしてやっと見抜けたという場合もあります。
最近のDX(デジタルトランスフォーメーション)技術の進歩で歯科医療器具も進化していますが、最後の見抜く力は術者の技量に委ねられています。いくらデジタル機器が発達しても、AIが進歩しても、最後は術者の見抜く力です。
われわれが生理的に正しいと装着した歯科修復物も果たして本当に正しいのでしょうか?脳は具合が悪い部分がお口の中にありますと、反射によりその具合の悪い部分を避けようとします。通常避けて何とか取り繕うことでうまく機能するようにします。お口の情報をつかさどる三叉神経のなすところです。ただ、歯並びなどにより不具合な部分を避けようにも避けられない場合もあり、そのときは噛みにくいなどの不快な症状を自覚します。こんな場合食いしばりがひどくなったり、歯ぎしりが生じたりします。歯痛や水がしみる歯が欠けるなどの自覚症状も出てきます。これらは噛み合せの不具合による症状です。
たかが一つの修復物でも場合によれば噛み合わせの不具合の原因になります。修復物を装着したら一生安心などという妄想は捨ててください。メインテナンスが重要なのです。年齢とともに修復物にも変化を入れていくことが、生体に調和した噛み合せを維持するうえで大切なことになります。一度装着した修復物が常に正しく生体と調和していれば理想ですが、実際は複雑なその人それぞれの固有のお口の使い方があり、お口の使い方も経年的に変化してきますので、定期的にチェックしていくことが大切です。定期的にチェックして必要あれば該当修復物の微調整をし続けることが修復物を長持ちさせる秘訣です。