「気のせい」なのか?
歯科臨床において患者さんが「気のせい」という言葉で問いかけられることが多々あります。私は「気のせい」ではなく何らかの原因が潜んでいるということでお話させていただくし、臨床も取り組んでいます。「気のせい」といわれ、「それでいいのです」という答えは返しません。
患者さんの訴える症状の原因が明白な場合、「気のせい」にはなりません。症状の原因がレントゲン検査をしても、臨床所見をみても明白でない場合、「気のせい」なのかと医療者側も思いたいものですが、多くの場合隠れた原因があり、「気のせい」でない場合が大半です。
どんな場合が多いのか?ということですが、歯科臨床を40年以上従事して思うことは、咬合(噛み合せ)の奥深さです。人の顔が経年的に変化(老化)していくように、口腔内も変化していきます。口の使い方(咬み方)や寝方やいろいろな癖により、歯は口の周りの筋肉の作用で動きます。上下天然歯同士の場合はまだいいのですが、人工的な修復物がある場合、歯が動くことで馴染みにくくなります。不具合が生じるとソコを避けるような習慣性咀嚼サイクルが出来ます。これは少しねじれを伴うことがあり、ねじれの力を受けた歯が悲鳴を上げます。悲鳴を上げ軽度痛みなどの症状を呈するのですが、レントゲン的にも視診などの臨床的にも異常なしにみえます。そのため症状を訴えられても「気のせい」なのかになります。
症状を訴えられても原因不明の場合、その中には咬合(噛み合せ)の不調和によるものがあります。咬合は各一人ひとり違っていて個性的です。その人の個性に合った咬合を構築していき、それを維持管理していくことが大切です。
最近、「噛みにくい」という主訴でご来院の方、当医院での処置で食べやすくなり「目から鱗」といっていただきました。口のいろいろな症状を「気のせい」で片付けられている人、一度番町歯科クリニックにお越しください。