治療した被せ物・詰め物がしっくりしない・・・こんなものなのか?
カリエス(虫歯)は歯の実質欠損を伴います。そのためカリエス(虫歯)治療をすると一般的には詰め物・被せ物で修復します。天然歯の欠損部分に人工物を置き換えるのが一般的な修復です。治療後、置き換えられた修復物ですが、これまでの咬合関係になじまないといけません。このなじむようにするのが、治療時にする詰め物・被せ物等修復物の調整です・
カリエス(虫歯)の大きさにより通常小さいものは詰め物。大きなものは被せ物という風に分かれます。詰め物はかみ合わせ面(咬合面)の一部に、被せ物はかみ合わせ面(咬合面)全部に人工物が置きかわっていることになります。人工物は天然歯とは当然ですが物性が違います。材料の種類によれば磨耗しにくいものもあります。この点をまず理解しておく必要があります。
詰め物・被せ物治療後すぐなぜか違和感を覚えることもあると思います。「すぐになれる」と思うかもしれません。本当に問題なく「なれてしまった」ということもあるでしょう。他方、体が反応して具合の悪い詰め物・被せ物を避けるような咀嚼サイクルを構築してしまい「なれてしまった」になることもあります。口を制御している脳神経である三叉神経のなせるワザです。この反射性の咀嚼サイクルが出来上がるとこれが習慣性となり、あたかもどこも悪くないかのような振る舞いになります。
獲得したものは本来のものとは違うものですので、いつか口のどこかに綻びが生じます。すぐに結果・症状が出てこないことが問題なのです。患者さんは認識できませんし、歯科医師も本来のものとズレがあるとは思いません。一つ問題のある詰め物・被せ物が入ると、そのあとに続く同様の修復には、知らず知らずにズレの状態に合わしてしまわれます。そしてズレが固定されていきます。
ズレの歪がたまってきますと、いろいろな症状を現します。歯が欠けた・歯が折れた・水がしみる・顎が痛い・歯ぎしりがひどくなった・歯がグラグラするなどなど。一般的な症状ばかりです。この出発点がほんの些細なことだったということもあるのです。
歯科治療後に違和感がある場合、「こんなものだろう」ではなく、具合の悪いことを率直に訴えて欲しいものです。対応してもらえない場合、対応してもらえる歯科医院に代わったほうが得策です。