悪くなったら次の機会にしたい。
「悪くなったら次の機会にしたい。」よく患者さんから発せられる言葉になります。歯科修復物を保険診療にするか、自費治療にするかを選択する際、聞かれる言葉です。結論的には保険診療を選ばれた際、患者さんの口から出てくる言葉です。歯科では今より先に状態が良くなることはまずありません。経年的に劣化していきます。良くて現状維持です。悪くなったら次は今より良くない状態になっていて、その時費用のかかる自費治療は余程の覚悟がないとお引き受けできないこともあります。
「悪くなったら次の機会にしたい。」は患者さんが保険診療したいという意思の表れで、それはそれでいいです。ただ、いいものは早くしないと年齢にもよりますが、適した時期を逃すことになります。口腔に体にいいものをメインテナンスしながら長く使うことが大切です。
保険診療でしかしないポリシーの方はそれでいいです。保険診療での限界があることも承知してください。歯科医療は建築と同様なところがあります。注文建築でデザイナーが設計し工法にも工夫を凝らし、建築材料に糸目をつけなければ高額な費用が発生します。保険診療はスタンダード建築のような治療であることを理解してください。
「悪くなったら次の機会にしたい。」ではなく、悪くならないようにすること。そして特に義歯(入れ歯)で言えることですが、いいものを、快適なものをより少しでも長く使うことも考えてください。自費治療でするのなら、命にも限りがありますので、少しでも早くすることをお勧めします。