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虫歯の洪水
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1980年代までは小児を中心にカリエス(虫歯)がかなりあり、その治療に歯科医師は多くの時間を費やしました。その後、カリエス研究が進んだこと、それに伴う予防歯科分野の進化で小児のカリエス罹患は急激に減少してきました。成人も学童期のカリエス減少でカリエスが減っています。これらの成果が80歳で20本以上歯がある方が、5割を現在超えました。
小児期から成人期までのカリエス予防や早期治療の効果が、80歳で20本以上ある高齢者が5割を超えたことに表されています。「よくかむ」「よくかめる」など口腔機能が充実していると、健康寿命を延ばす効果があるといわれています。歯があればあるほど一部の機能障害のある方を除けば、よくかむことは可能です。
歯を残すということはいい事でしょうか?通常は歯を残すことはいいことです。いいことですが、健康でご自身で口腔ケアを実践できることが大前提です。この大前提が崩れると歯を残したことが、今度は大きな障壁となり降りかかってきます。
認知症、寝たきりなど介護が必要になったとき、ご自身での口腔ケア実践がおぼつかなくなり、介護者に委ねなくてはいけません。口腔ケアへの意欲関心低下、実践力低下に加え、食べ物の嗜好品の変化(砂糖の採りすぎ)、加齢や薬剤の副作用による唾液量の減少などとあいまって、カリエスが急激に増えます。まさに「虫歯の洪水」です。
高齢化いや超高齢化社会が間近に迫っています。かつての小児の虫歯の洪水は語り草の世界ですが、これからの現実問題として高齢者のカリエス問題は社会問題になるかもしれません。高齢者特に介護を必要とする高齢者にとっては、義歯のほうが口腔ケアの面では
有益かもしれません。 |
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