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咬合不調のサイン
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成人の歯は先天性欠如の歯もありますが、概ね28本~32本です。歯がうまくハーモニーを保っていくが咬合安定のためには大切なことです。ただ、歯の咬合面(かみ合わせの面)には咬頭と呼ばれる山もあれば、小窩裂溝という谷もあります。複雑な形状の歯が上下かみあっていくわけですから、硝子細工のような脆弱さがあっても不思議ではありません。
複雑な形状の歯は歯根膜を介して歯槽骨(顎の骨)に植わっています。歯槽骨や歯は硬組織ですが、歯根膜がクッションの役目をして咬合力から歯を守るよううまく調整しています。人の体はこのようにすばらしい能力があります。ただ、修正力にも限界もあります。
歯を失ったまま放置していたり、咬み癖があったり、くいしばりなどのブラキシズムがあったり、不適切な修復物があったりすると、リズミカルな歯のハーモニーが崩れていきます。その結果咬合不調が発生します。咬合不調が生じますと、咬合力の偏在や、顎の偏位が起こり、いろいろな症状が出ます。
歯周病タイプの方は、歯が揺れる、歯茎が腫れるなどで、最悪歯を失うことになります。
歯周病タイプで無い方は、歯が壊れることになり、歯冠破折や歯根破折を生じます。歯根破折ではやはり歯を失います。またある方は顎が痛くなり、開口障害なども起こしいわゆる顎関節症症状を呈します。
これらの咬合不調が原因で生じるさまざまな症状はすぐに出現するものでもありません。ボクシングのボディブローのように徐々にダメージが重なって生じるものです。咬合不調の初期サインを見逃すな!ですが、それはありふれたものです。
歯肉からの出血。歯の微妙な揺れ。有髄歯(歯髄が生きている)なら水がしみるなどです。歯肉からの出血は磨き方に問題のある場合もありますが、ある特定の歯だけ出血する場合、歯の当たり方に問題があると考えてもいいと思います。水や空気で歯がしみるのは象牙質知覚過敏症と呼ばれますが、知覚過敏の原因が力の偏在・咬合不調にあることもあります。
咬合不調の初期サインはありふれたものですので、かなり咬合に造詣のある経験を積んだ歯科医師でないと対応できないかも知れません。 |
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