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咬合(かみ合わせ)変り行くもの
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歯は顎の骨に植わっています。この歯と骨という硬組織を結び付けているのが繊維性膜である歯根膜。この膜がクッションの役割をしています。また、歯根膜には三叉神経の神経終末(センサー)もありダイレクトに脳に情報が伝わる仕組みです。
歯は1日30ミクロン動くといわれています。また歯は舌と唇や頬の筋肉のちょうどいいバランスのところに植わっています。力の加わり方、例えばかみ癖や頬杖をついたり、舌の癖などの態癖があったりすると、それだけである特定の歯が動いたりします。歯が動くと二次元の歯並びも変化しますし、三次元の上下の歯の当たり方(咬合)も変わります。
カリエスを放置すると歯冠崩壊が起き歯の関係が変化します。また、欠損歯があるのに放置していますと、両臨在歯や対合歯の三次元的な位置関係が変化します。一部の歯の位置の変化は咬合(かみ合わせ)の変化となります。これをほぼ認識せずにいます。変化してもあたかも何の不具合も無いかのように通常振舞っています。
歯科医院で治療して歯冠修復しても、この修復物がなじみの悪い状態では、生体は通常自然に少しでもなじみのいい場所に下顎を偏位させ、これまた何事もないかのように振舞います。
このように、日々生理的にも、やや非生理的にも、歯の位置は変化、それに伴って歯並び、咬合(かみ合わせ)も変わり顎の位置も少し変わります。このズレにより生じたひずみが、歯の硬組織や歯肉をはじめとする歯周組織、それに顎関節に影響を及ぼします。症状としては歯がしみる(象牙質知覚過敏)、歯が欠ける(歯の破損)などの硬組織疾患、歯茎からの出血(歯肉出血)、歯が揺れる(歯牙動揺)などの歯周病症状、顎が痛い・顎に音がする・顎が開きにくいなどの顎関節症症状などで、これらの症状が同じメカニズムで発症しているとは想像できません。
歯は日々変化していて、それに伴い咬合(かみ合わせ)も変化するものであることを認識しておく必要があります。一日も同じ状態でいることは生理的にも無いのです。 |
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