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プラークからバイオフィルムへ
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デンタルプラークがカリエスや歯周病の原因になります。デンタルプラークは歯垢とも呼ばれます。「歯の垢」ですと、食べ物の残りかすなどのイメージが湧いてきそうですが、実際はデンタルプラークの細菌が問題になります。デンタルプラーク=歯垢では細菌のイメージが出てきません。
そこで最近盛んに用語として使われ出したのがバイオフィルムです。バイオフィルムのイメージは洗面器などにつく「ぬめり」。構成主体は細菌ととりまきのネバネバした多糖類です。バイオフィルムは歯面に付着しやすいミュータンス菌などから作られた初期段階から、より病原性の高い歯周病菌などが参入して徐々に成熟していきます。
バイオフィルム中の細菌はお互いが共存し、もちつもたれつの関係を維持し、生体からの免疫機構や抗菌薬などに抵抗を示します。バイオフィルムは成熟して古くなればなるほど病原性が増大していきますので、古いバイオフィルムを取り除き、新しいバイオフィルムに取り替える必要があります。これを行うのがご自身のセルフケアであり、かかりつけ歯科医院での定期的な口腔ケアです。
バイオフィルム内の歯周病菌が血液中に入り菌血症により全身的な影響があるのではないかと、このところテレビなどでも取り上げられてきています。体の抵抗力の弱った高齢者や有病者の方ではバイオフィルム内の細菌による日和見感染のリスクも大です。バイオフィルムを体から完全除去は残念ですが出来ません。いかにバイオフィルムの病原性を抑えるか。歯科特有のカリエス・歯周病予防だけでなく、全身的な内科的な疾患の予防に繋がるとすれば、古くなった病原性の高いバイオフィルムをかかりつけ歯科医院で定期的に除去することは大変有意義なことであります。 |
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