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冠は万能?ではありません!
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歯科治療でのよくある身近な修復物に冠があります。冠というのは歯冠と呼ばれる歯茎(歯肉)より上の部分の歯を覆う修復物の総称です。
最近ではカリエス治療も必要最小限の治療(MI治療)が定番になり、冠形態の修復をすることも傾向的には少なくなってきています。ただ、歯冠が崩壊しているような大きなカリエスのケースや、冠を被覆している歯の再治療のケースなどではやはり冠による修復が必要になります。
冠の材料としては、金属が定番ですが最近では審美修復も多くなり、セラミックスやハイブリッド系レジンもよく使われています。材料は別にして冠が装着されると、何ですか鎧や兜を身にまとったような感じとなります。百万力のパワーを得た気分になりますが、冠を装着した歯は弱った状態のものが圧倒的に多いのです。ここに落とし穴があります。
健康な歯は表層にエナメル質が存在してあらゆる刺激からしっかり防御しています。一般的に冠を装着した歯はエナメル質がもうありません。これだけでも困ったものですが、より困ったことに多くは無髄歯(歯髄が失活)で大きく崩壊しているということです。崩壊部分は補強(支台築造)をしますが、根本的に弱い状態です。弱った歯に一見強そうな冠が被さっているということです。
そのため冠を被覆した歯は健全歯よりより丁寧な口腔ケアが必要になります。また根本的に弱った脆弱な歯ですのでいたわりながら使わないといけません。硬い食材をバリバリと噛み砕くような行為には冠被覆歯は適応ではないのです。このことを理解していないか、理解していてもついつい忘れている方が圧倒的に多いです。この点をご理解してください。 |
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