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歯にかかる見えない力と気づき

最近歯科臨床をしていて特徴的なことがあります。カリエスでもないのに歯痛や知覚過敏を訴える方が結構な人数いることです。視診でもX線診断でも明白な原因をつかめないのに、痛みを訴えます。なぜだろうとなりますが、この痛みの原因の多くが見えない力です。
見えない力って?となりますが、これがブラキシズムや癖ということになります。ブラキシズムでは夜間の歯軋りであるグライディングが有名ですが、歯軋りよりくいしばりである垂直圧のクレンチングや、歯を斜めからたたく側方力のナッシングの方が歯には影響が大きいです。癖も知らず知らずにしていますが、顎口腔系に見えない力として有害に働くことがあります。
クレンチングやナッシングは意外に一般的に認識されていません。1日24時間で上下歯が接触している時間はわずか10分~20分くらいです。歯は噛むというイメージがあるため、一日接触しているようですが、安静にしていれば接触していません。このことを皆さん知りません。知っておいてください。歯は安静時では上下の歯は当たらないのです。
 
また、クレンチングなどによる歯への力は、通常の咀嚼時の数倍以上かそれ以上で、歯は力に抗しきれなくなります。
 
歯にかかる力が生理的耐久力以上にかかりますと、歯のセンサーである歯髄は異常を感知して歯の悲鳴としてしみる、痛いなどのアラート(警報)を発します。また歯の一部欠け(チップ)や亀裂(クラック)が入りカリエスの原因にもなります。これは有髄歯の場合です。歯髄が失活歯の場合、センサーが鈍いですので歯痛や知覚過敏になることは少ないです。その代わり無髄歯(失活歯)では歯の構造が脆弱になり歯根破折や歯冠破折を惹起し、歯茎(歯肉)が腫れることもあり、重症では歯を失うことになります。
力は歯周病の増悪因子にもなります。これら顎口腔系にとって見えない生理的な範疇を逸脱した力。いかに悪いかを認識していただき、そうした行為をしていることを気づけば治療の半分が終わったことになります。顎口腔系にかかる見えない力に抗するには、その気づきが大切で治療をする側にもされる側にも必要なことです。

番町歯科クリニック
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