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歯を壊す

自らの歯を自らが壊している。こんな衝撃的なことが日常茶飯事で繰り返し起こっています。信じられないかもしれませんが、長年の臨床経験からの結論です。最近は口腔ケアに熱心な方が増えて、不衛生・不摂生が原因のカリエスなどの歯科疾患は著明に減少しています。喜ばしい限りですが、他方しっかり口腔ケアしているにもかかわらず、カリエスや歯の破折でこられる方が増えています。
 
日本人の歯を抜く原因は従来からのカリエス・歯周病ですが、最近歯根破折が原因で抜歯を行うケースが増加していて、抜歯原因の20%以上を占めています。口腔ケアが良好にもかかわらず、カリエスが生じているのは歯冠表層のエナメル質にクラック(亀裂)が入りこの亀裂に細菌が進入してくることによります。クラックにより歯の一部が壊れますと見た感じ立派なカリエスになります。臨床的にカリエス像がないのもかかわらず、歯がしみる・痛いといわれるケースは知覚過敏ですが、クラックを疑います。クラックが原因と思えるケースが多々あります。
 
有髄歯(歯のシンケイが生存)ならば、クラックが入っても「巻き割り」のように歯が二分割にはなりませんが、無髄歯(歯のシンケイが失活)の場合、クラックが入ると二分割になる可能性がありこの場合抜歯となります。
 
なぜクラックが入るのか?ですが、やはり食いしばりなどのブラキシズム、固い物好きの食品嗜好、偏側咬みなどが考えられます。その中では「ガンバリズムが歯を壊す」という本もありましたが、ストレス社会で歯に無意識のかみしめや食いしばりが加わることが大きいと思われます。歯を自壊から守るにはやはり「気づき」が一番です。食いしばりを自覚するだけで歯の負担が軽減されます。また咬合関係のバランスをとることで特定の歯に強い力が加わらなくすることも出来ますしこれも有効な手段です。
 
現代人であるが故のクラック由来の歯科疾患、気になる方は咬合(かみ合わせ)に精通している歯科医院を受診してください。

番町歯科クリニック
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