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歯牙疾患病態の変化(歯の亀裂)

1歳半や三歳児歯科健診でカリエス罹患のお子さん少ないです。この年齢でカリエスが多いと以前は過保護でボトルマウスと呼ばれていました。今なら幼児虐待が疑われるかもしれません。カリエスが少ない傾向は小児歯科だけにとどまりません。
成人においてもカリエスは減少、初診の患者さんでも歯冠が大きく崩壊してそれが原因で歯痛を訴える方は稀有です。私が歯科医師になりたての頃とは様相がまったく異なっています。
今でも歯痛や冷水痛で来院される患者さんは多くいます。その方たちの患部の歯牙のレントゲン写真を撮影しても痛みを訴える所見がない場合があります。カリエスなら患部が黒く抜けますのでわかりますが黒く抜けていないのです。視診でもわかりません。さてさてなんだろう?ですがその多くは力が関与しています。ブラキシズムとくにクレンチング(くいしばり)によるものやかみ癖、固いものを好む食習慣などが疑われると思われます。
これらを態癖と呼びます。この態癖が原因で歯が悲鳴を上げている状態が歯痛、冷水痛などです。一番厄介なのは歯のエナメル質に亀裂(クラック)が入り、象牙質にある象牙細管につながり歯の外部からの刺激、多くは口腔細菌や食べ物の化学物質、冷温刺激、上下歯牙早期接触などで歯髄(歯のシンケイ)がいたぶられている状態です。クラック付近はすごくしみますし、歯に当たるとひどく痛みます。痛みがしみこむという感じですごく痛がられます。
さてクラックが原因と思われる歯痛への対応ですが、これが難しい。すべて抜髄(歯のシンケイを抜く)すれば痛みは消えますのでいいといえばいいです。ただ可能な限り歯髄を残す方向で診療していますので、症状を観察しながら歯髄の保存的療法を試みています。ただ残念ですが、経過観察中に歯髄が失活して細菌感染して壊疽状態になり痛みが増大することもあり、その逆に治療の甲斐があり歯髄を保存できることもあります。
以上はあくまで歯が有髄(歯のシンケイが生きている)の場合で、無髄(歯のシンケイが死んでいる)場合は亀裂(クラック)が入ると歯の破折(歯冠破折)を生じることが多くあります。
歯牙疾患も時代とともに変化していることを痛感します。

番町歯科クリニック
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